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NISA・iDeCoのメリットと注意点|暴落時に慌てないための資産形成

監修:独立系ファイナンシャルプランナー
 | 読了 約9分
NISA・iDeCoのメリットと注意点|暴落時に慌てないための資産形成のイメージ

この記事の結論

NISAは「運用益が非課税になる、いつでも使える制度」、iDeCoは「掛金が所得控除になる、老後資金のための制度」。ただし、どちらも制度に申し込むだけで値下がりがなくなるわけではありません。大切なのは「何に投資するか」「いつ使うお金か」「下落時にどうするか」を先に決めておくこと。2つの制度のメリットと注意点、そして暴落時に慌てないための考え方を、FPの視点でまとめました。

まずは考えてみてください

もし、投資している資産が大きく値下がりしたら、持ち続けられますか?

NISAやiDeCoを始める人が増え、「長期で積み立てれば大丈夫」という言葉をよく耳にするようになりました。たしかに長期・積立・分散は資産形成の基本です。ただ、実際に資産が3割、4割と減ったときに、冷静に積み立てを続けられる人は多くありません。

「長期だから大丈夫」だけでなく、下落時の行動を先に考えておく。

この記事では、NISAとiDeCoのメリットだけでなく、注意点と対策、そして暴落時に慌てないための考え方まで解説します。

「制度を知ること」と「続けられる設計」は別

NISAやiDeCoは、あくまで税金が優遇される「制度」、つまり入れ物です。資産形成がうまくいくかどうかは、制度の中で次の3つをどう決めるかにかかっています。

資産形成で大切な3つのこと
  1. 1

    何に投資するか

    制度の中で選ぶ商品によって、値動きの大きさは変わる

  2. 2

    いつ使うお金か

    使う時期が近いお金ほど、値動きへの備えが必要

  3. 3

    下落時にどうするか

    売る・続ける・見直すを、事前に決めておく

知らないと損するポイント

制度に申し込むだけで、値下がりがなくなるわけではありません。NISAもiDeCoも、元本は保証されていません。

NISAとiDeCo、何が違う?

どちらも「制度」なので、中に入れる商品を自分で選ぶ必要があります。まずは2つの違いを押さえましょう。

NISAとiDeCoの違い(2026年10月時点)
NISAiDeCo
ひとことで運用益が非課税になる制度老後資金を準備する私的年金制度
主な目的幅広い目的の資産形成老後資金づくり
税制メリット運用益が非課税掛金が所得控除、運用益も非課税
引き出し必要なときに売却・換金できる原則、老齢給付金の受取開始まで引き出せない

制度が運用リスクをなくすわけではありません。

NISAの4つのメリット

NISAは、使いやすさと非課税で、資産形成を後押ししてくれる制度です。

  1. 1

    運用益が非課税

    売却益や配当などに、税金がかからない

  2. 2

    必要なときに換金しやすい

    売却すれば資金を引き出せる(受渡日は商品による)

  3. 3

    年間投資枠は最大360万円

    つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円

  4. 4

    非課税保有期間は無期限

    非課税で持てる上限(生涯)は合計1,800万円

「非課税」の効果を、毎月3万円を20年間積み立てた場合で試算してみました。

毎月3万円を20年間積み立てた場合
積み立てた元本運用で増えた分
預金(金利ほぼ0%)720万円
年3%で運用985万円
年5%で運用1,233万円

年3%で運用できた場合、増えた分は約265万円。ふつうの口座なら、ここに約20%、約54万円の税金がかかります。NISAなら、この税金がゼロになります。

ポイント

試算は毎月複利で計算した目安です。利益が非課税になる制度であり、元本保証ではありません。

iDeCoの4つのメリット

iDeCoは、税制メリットを活かして、老後資金づくりを支えてくれる制度です。

  1. 1

    掛金が所得控除

    掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象になる

  2. 2

    運用益が非課税

    運用中に得た利益に、税金がかからない

  3. 3

    受取時にも控除

    一時金・年金など、受け取り方に応じて控除が使える

  4. 4

    老後資金を積み立てやすい

    原則60歳まで引き出せず、老後資金として分けて準備できる

特に大きいのが、掛金の所得控除です。積み立てるだけで、所得税と住民税が安くなります。その効果は、税率の高い人ほど大きくなります。

iDeCoで1年間に軽くなる税金の目安(所得税+住民税10%)
所得税の税率月2.3万円を積み立て月6.2万円を積み立て(2026年12月〜)
5%約4.1万円約11.2万円
10%約5.5万円約14.9万円
20%約8.3万円約22.3万円
23%約9.1万円約24.6万円
33%約11.9万円約32.0万円

ポイント

2026年12月からは、会社員・公務員の掛金の上限が月6.2万円(企業年金などとの合計)、自営業者などは月7.5万円に引き上げられ、加入できる年齢も70歳未満まで広がる予定です。節税効果は、所得・加入区分・受け取り方などによって異なります。

制度のメリットを活かすには、注意点も知っておく

ここからは、運用を「続ける」視点で見ていきます。NISA・iDeCoを続けるうえでつまずきやすいのは、次の3つの場面です。

  • 値下がりしたとき
  • 資金が必要になったとき
  • 制度の中で、何を選ぶか迷ったとき

NISAの注意点と対策

制度の特徴を知り、選択肢を整理しておきましょう。

NISAの注意点と対策
注意点対策
  • 元本保証ではない

    生活費や近く使うお金は分け、余裕資金で運用する

  • 損失は損益通算できない

    NISAの損失は、課税口座の利益と相殺できないことを理解しておく

  • 年間投資枠は翌年に持ち越せない

    無理に使い切らず、継続できる金額で積み立てる

  • 値下がりで不安になりやすい

    使う時期・運用期間・値下がり時の行動を先に決める

また、相続のときは、必要書類の取得などで手続きに時間がかかる場合があります。家族にも、どこにどんな口座があるかを伝えておくと安心です。

目的に合った積立方法を考える。

iDeCoの注意点と対策

節税だけでなく、お金の使い方まで確認しておきましょう。

iDeCoの注意点と対策
注意点対策
  • 原則60歳まで引き出せない

    生活防衛資金を確保し、余裕資金で掛金を設定する

  • 掛金の上限は加入区分で異なる

    勤務先の企業年金など、自分の加入条件を確認する

  • 口座管理などの手数料がかかる

    手数料と掛金のバランスを見て、無理なく続ける

  • 受取時に課税される場合がある

    一時金・年金などの受け取り方と、税の控除を確認する

  • 受け取り開始: 60歳から受け取るには、加入期間などが通算10年以上必要です。10年未満の場合は、受け取りを始められる年齢が遅くなります。
  • 加入できない場合: 老齢基礎年金を受け取っている人や、iDeCoの老齢給付金を受け取ったことがある人などは、加入できない場合があります。

FPの相談現場から

相談でよくあるのが、「節税になると聞いてiDeCoを満額で始めたけれど、数年後に住宅の頭金が足りなくなった」というケースです。iDeCoのお金は原則60歳まで使えません。掛金の節税効果だけで決めず、受け取りまで含めて設計することが大切です。

掛金の節税効果だけで決めず、受け取りまで含めて設計する。

運用する上での共通の注意点と対策

ここからは、NISAでもiDeCoでも共通する、運用を続けるための考え方です。

1. 暴落と、回復までの期間を理解しておく

暴落は繰り返し起きます。そして、下落後の回復には時間がかかることもあります。

S&P500の主な暴落と、高値回復までの期間
暴落の時期主な出来事最大下落率高値回復までの期間
1929年世界恐慌約−83%約25年
1973〜74年オイルショック約−48%約7年
1987年ブラックマンデー約−34%約2年
2000年ITバブル崩壊約−49%約7年
2008年世界金融危機約−57%約5〜6年
2020年コロナショック約−34%約5か月

S&P500の過去データをもとにした目安です。回復期間は、算出方法や配当の扱いなどで異なり、将来の回復を保証するものではありません。

もう一つ知っておきたいのが、「リカバリートラップ」です。下落した率と同じ割合だけ上がっても、元の金額には戻りません。

下落したとき、元に戻るために必要な上昇率
下落率元に戻るのに必要な上昇率
−10%約+11%
−30%約+43%
−50%+100%

たとえば100万円が50万円に半減すると、元の100万円に戻るには、50万円が2倍、つまり+100%にならなければなりません。大きく下がるほど、回復には時間がかかります。

知らないと損するポイント

積立を続けることに加えて、「いつ使うか」「下がったときにどうするか」まで先に決めておくことが、暴落時に慌てないいちばんの備えです。

2. 資産配分を見直してくれる商品も選択肢に

投資信託の中には、市場の環境に応じて、運用の担当者(ファンドマネージャー)が資産の配分を見直すタイプの商品もあります。

  • 相場が不安定なとき: 株式の比率を下げ、債券や現金など「守りの資産」を増やす
  • 相場が回復してきたとき: 株式の比率を高め、成長資産でリターンを狙う

自分で値動きを見て判断するのが不安な人は、こうした「守り」と「攻め」を切り替えるタイプの商品を組み合わせるのも一つの方法です。

ポイント

資産配分の見直しは、損失をなくすものではありません。運用方針・見直しの頻度・費用・リスクを、事前によく確認しましょう。

これからできる一歩

資産形成を「自分ごと」にするために、今日からできることは3つです。

  1. 資産形成のゴールを確認する: いつまでに、何のために、いくら必要か
  2. 今どんな資産を持っているかを確認する: 預貯金・投資・保険・ローンを一覧にする
  3. 毎月、積立投資を始める: 無理なく続けられる金額から

今の状況を知ることが、自分に合った資産形成の第一歩です。「自分の場合はどう設計すればいい?」と迷ったら、FPに相談して、あなた専用の路線図をつくってみてください。

よくある質問

NISAとiDeCoは両方同時に使えますか?

はい、両方を同時に利用できます。いつでも使えるお金はNISA、老後のためのお金はiDeCoというように、目的ごとに使い分けるのがおすすめです。

暴落したら、NISAやiDeCoは売ったほうがいいですか?

一概には言えません。大切なのは、下落してから慌てて判断するのではなく、「いつ使うお金か」「下がったときにどうするか」を始める前に決めておくことです。使う時期が近いお金は、値動きの小さい資産に移しておくなどの備えも考えましょう。

iDeCoは途中でやめられますか?

掛金を止めることはできますが、積み立てたお金は原則60歳まで引き出せません。無理のない掛金で始めることが大切です。

NISAで損をした場合はどうなりますか?

NISA口座で出た損失は、ほかの口座の利益と相殺(損益通算)することができません。長い期間をかけて、分散しながら積み立てることが基本です。

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や個別の投資助言を行うものではありません。制度の内容は記事更新日時点のものです。最終的なご判断はご自身の責任でお願いいたします。